総務省は2月29日、“プラチナバンド”と呼ばれる900MHz帯の周波数をソフトバンクモバイルに割り当てることを正式に決めた。ソフトバンクのほかにも、NTTドコモ、KDDI、イー・アクセスが申請していたが、総務省の諮問機関である電波監理審議会はソフトバンクが申請した開設計画が適当と判断。「多発する携帯電話の通信障害にかんがみ、停電対策・輻輳対策や通信障害の発生防止等の電気通信設備に係る安全・信頼性の向上に努めること」などを条件に、認定するとした。 1.5・2GHzなどの高周波帯に比べて、700〜900MHzの周波数帯は電波が障害物を避けて届きやすいため“プラチナバンド”と呼ばれている。すでに800MHz帯の周波数を保有するNTTドコモとKDDIに対して、ソフトバンクの通信インフラは不利な状況が続いていた。総務省はソフトバンクを選んだ理由として、電波状況の混雑度や移行推進計画の充実度などを挙げている。 ソフトバンクは今年7月以降、iPhoneでも900MHz帯の利用を開始する予定であり、iPhone 4/4Sの通信品質向上が期待できる。しかし、基地局設置などの大規模なインフラ整備が必要であり、また、2兆円規模の費用が負担にもなることから、契約者数のさらなる拡大が求められることにもなる。
ソフトバンクが2月2日発表した2011年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比6.6%増の2兆3,982億円、最終利益が76%増の2,501億円となり、同期の過去最高益を更新した。一方、NTTドコモとKDDI(au)は減益となった。 ソフトバンクはiPhoneの販売が好調で、携帯端末の新規契約数から解約数を引いた純増数は242万6,600件となり、通信料収入は過去最高の13%増となった。また、昨年10月よりiPhone 4Sを販売するauへの流出は5万件に収まったという。しかし、10~12月期にはauに対抗するなどの販促費がかさんで減益となった。 孫正義社長は2016年度に連結営業利益1兆円を目指すと述べるとともに、固定回線とスマホのセット割引サービスを検討する方針を示した。また、スマホ普及に伴い急増しているデータトラフィックに関して危惧を示した。 [ソフトバンク決算発表]
KDDIは1月16日、国内で初めて携帯電話向けNFCサービスを展開すると発表した。現時点で対応機種はサムスン「GALAXY SII WiMAX ISW11SC」のみだが、順次拡大する計画だ。専用アプリケーションをダウンロードして利用できる。 NFCとは“Near Field Communication”の略で、ISO (国際標準化機構) で規定された国際標準の近接型無線通信方式。TypeA、B、FeliCaとの上位互換がある。 NFC(TypeA/B)対応モデルでは、電子マネーやクレジットなどの決済サービスや、クーポン、会員証、各種チケットとして利用できる「カード機能」、NFCタグを内蔵したポスターにNFC携帯電話をかざすことにより情報取得ができる「リーダ機能」、NFC携帯電話同士やNFC対応機器にかざすことで情報交換を行う「Peer to Peer機能」などが、国内だけでなく海外でも利用可能となる。 NFCサービス導入予定企業として、日本航空(JAL)やセブン・カードサービス、TSUTAYA、ビックカメラなどが名を連ねており、飛行機の搭乗、電子マネー決済、ポイントサービスなどが利用できるほか、さまざまな情報取得も可能となる。 KDDIは昨年12月に国内大手キャリアが設立したモバイル非接触ICサービス普及協議会と連携して、NFC携帯電話の普及拡大を推進していくとしている。 現在のNFC普及率はグローバル市場で10%にも満たないが、今後2〜3年内には50%以上にまで拡大するとみられている。スマートフォン市場をリードするAppleも2012年版iOS端末でNFC対応が予想されており、また、米Googleはすでに、NFC利用のモバイル決済「Google Wallet」をローンチした。日本国内に目を向ければ、携帯キャリア最大手ドコモもFeliCa方式と国際規格TypeA、BのNFCをサポートするインフラ整備を進めている。 また、Android 4.0搭載端末ではNFCを使った情報交換「Androidビーム」が提供される。 [KDDI:モバイルNFCサービスの商用化]
This website uses cookies.