また、2つのアンテナを内蔵して送受信を自動的に切り換える新しいアンテナシステムを導入したが、デンマーク・オールボルグ大学のGert Frølund Pedersen博士らによると、Appleが採用したこの技術はサムスン電子の保有する特許権を侵害している可能性があるという(ComON)。
Pedersen博士は、「iPhone 4Sで採用されている新しいワイヤレスシステムは、前世代iPhone 4で問題となったいわゆる“アンテナゲート”を解決しているが、今回問題となっているのは、Appleがこの技術の使用を許可されているのかどうかだ」と述べた。
なお、同博士はiPhone 4の持ち方などによって電波の受信感度が変化する“アンテナゲート”問題を予測していたことにも言及した。
Pedersen博士は「例えば、デバイスがポートレートかランドスケープモードかに基づいてアンテナを選択する方法に特許侵害の可能性があり、直接的に特許を侵害しているかは不明であるが、多くの特許を侵害すること無くこのような新しいアンテナを設計するのは困難だ」と指摘している。Pedersen博士らの研究グループは2007年、サムスンにこのアンテナ設計に関する特許を売却しているという。
また、博士によると、AppleはiPhone 4Sのアンテナについて、「送信用と受信用の2つのアンテナをインテリジェントに切り替える初めての電話である」と発表したが、この技術は既にDECT仕様のコードレス電話などで随分前から使用されていると明言した。
サムスンはすでに、フランスとイタリアで「iPhoen 4S」の販売差し止め請求を行うと発表して、今後は他の国々でも同様の知的所有権をめぐる訴訟を行う予定だが、今回のアンテナに関する特許侵害はまだ含まれていない。
サムスンによる訴訟の予定が影響しているのか、サムスンの地元である韓国では、AppleのウェブサイトのiPhone紹介ページもiPhone 4のままであり、iPhone 4Sの販売予定が無い状況だ。